卒業後の就労移行支援とB型の違い&選び方【支援内容・工賃・費用比較】

こんにちは。児童発達支援・放課後等デイサービス「アプリTODAY」です。
高校を卒業したあと、「一般就労をめざすべきかB型で体調と両立させるか」で迷う保護者・本人は少なくありません。就労移行支援と就労継続支援B型対象者・支援内容・雇用形態・工賃 が大きく異なります。この記事では最新の平均工賃(令和5年度)を含めて両サービスを比較し、目的に合った選び方 をまとめました。

目次

サービスの位置づけと対象者

項目就労移行支援就労継続支援B型
対象8〜65 歳で一般就労をめざす人一般就労が困難で雇用契約なしでも働きたい人
利用期間原則 2 年(最大3年)期間制限なし
雇用形態事業所と雇用契約を結ばない(訓練型)雇用契約なし、工賃 を受け取る
主なゴール一般企業への就職体調・生活リズムを整えながら
作業工賃を得る
報酬体系就職者数・定着率で加算工賃向上・成果で加算

移行=「就職のための訓練」、B型=「体調と両立しながら働く場」
目的が根本的に違います。

支援内容とプログラム比較

項目就労移行支援就労継続支援B型
内容模擬作業/ビジネスマナー/履歴書作成/模擬面接軽作業(内職・清掃・農作業など)
特色職場実習(企業への実地訓練)作業時間の柔軟設定:週1日・1 h も可
支援内容定着支援:就職後6か月のフォロー生活支援:体調管理・金銭管理の助言

医療的ケアや重度障害でフルタイム勤務が難しい場合、B型は「働く習慣を切らさずに社会から孤立しない安全地帯」として機能します。

工賃・賃金と利用料金

平均工賃(令和5年度)

就労移行支援は訓練が中心のため工賃はありませんが、就労継続支援B型では、作業した分に応じた工賃が支払われます。

区分月額平均時間額平均その他
就労移行支援0円0円訓練のため工賃無し
就労継続B型17,031 円/月243 円/h雇用契約なし

B型は雇用契約がないため最低賃金の適用外ですが、報酬改定で工賃向上加算が強化され、年々上昇傾向です。
参考:https://www.kaien-lab.com/useful/1-employment/transfer-and-continuous/

利用料金

どちらも世帯所得別上限(0/4,600/9,300/37,200 円) で共通です。交通費・昼食代など実費が別途かかる点は放デイと同じ仕組みです。

世帯収入負担上限月額
生活保護生活保護受給世帯0円
低所得市町村民税非課税世帯0円
一般1市町村民税課税世帯(所得16万円未満)9,300円
一般2上記以外37,200円

※利用料(費用)についてはお住まいの自治体が決めるため、上記はあくまでも目安です。

この世帯収入は、利用者が18歳以上の独身の場合は本人のみの収入です。既婚者の場合は本人と配偶者の合計になります。家族と同居していても、親や兄弟の収入は対象ではありません

B型は“作業スタイル”で選ぶ ─4つのタイプ別事例

B型といっても作業内容は多彩です。体力・興味・将来像に合うスタイルを選ぶことでミスマッチを防げます。

軽作業・内職中心型

段ボール折りや袋詰めなど座位で行える軽作業 に特化。初利用者が生活リズムを整える第一歩に適しています。(平均工賃月1.5万円)

飲食・農業・接客型(カフェ・ベーカリー等)

製造+接客や農作業を組み合わせたスタイル。社会的交流と体力向上を同時に図れ、就労移行へのステップアップ率も高め(平均工賃月2万円)。

パソコン作業特化型

Webライティング・画像編集などPC作業のみで工賃を得る珍しいB型。出来高制で在宅ワーク直結のITスキルを段階的に習得できます(作業1日2h〜)。

パパゲーノ Work & Recovery https://papageno.co.jp/work-and-recovery/

多様作業型

軽作業と アクセサリー制作・ネット販売のPC 作業 を組み合わせたハイブリッド型。ハンドメイド商品の制作から発送管理まで一貫して学べるため、クリエイティブ志向とデジタルスキルの両方を伸ばしたい人に最適です。

TODAY 喜多見 https://today-b.ahc.co.jp/kitami/

期間・ステップ別の流れ

就労移行支援の場合

STEP
受給者証取得

サービス等利用計画を立て提出後、住まいの区市町村より受給者証が発行される。

STEP
利用開始

訓練カリキュラムを個別契約し訓練開始。

STEP
モニタリング

利用者の支援状況や目標達成度を定期的に確認・評価し、必要に応じて支援計画を見直しながら、就職内定を目指す。

STEP
卒業

一般就職。(平均8〜12か月)

STEP
定着支援

就職後、職場で長く安定して働き続けられるようにサポートする。就職後 6か月間利用ができ、訪問、または、電話にて行う。

就労継続支援B型の場合

STEP
受給者証取得

サービス等利用計画を立て提出後、住まいの区市町村より受給者証が発行される。

STEP
利用開始

作業内容・時間を個別契約する。(本人の体調に合わせた利用が可能)

STEP
モニタリング

利用者の支援内容が適切かどうかを定期的に確認・評価し、工賃や作業時間の見直しなどを行う。

STEP
利用期間

期間制限はなく、体調に合わせ更新していく。就労継続支援A型や就労移行支援に移行や一般就職することも可能。

STEP
定着支援

希望者は就労定着支援利用も可能。

選び方チェックリスト

一般企業で週 20 h 以上働ける体力がある?

YES→就労移行支援

NO→B型

就職活動(履歴書・面接)に抵抗がない?

YES→就労移行支援で早期就職

NO→B型で段階訓練

継続的な医療ケアや通院が必要?

YES→B型で柔軟調整

NO→就労移行支援でフル訓練

工賃より就労実績が欲しい?

YES→移行支援支援を経て就職を目指す。

NO→B型

体力や病状に不安がある方は、週1から通える就労継続支援B型が安心して利用できる。

よくある質問 Q&A

移行からB型に変更できる?

可能。専門員が計画変更し、市区町村に再申請。

B型から雇用型(A型・一般)へ上がれる?

工賃と出勤日数が安定すれば移行やA型への移行事例あり。

利用料は結局いくら?

世帯所得区分が非課税なら0円。実費は昼食代・交通費など月2,000〜5,000円が目安。

まとめ

就労移行支援は「最長 2年で一般就労をめざす集中トレーニング」、B型は「体調や生活リズムを守りながら期間無制限で工賃を得る作業型」という大きな違いがあります。令和5年度の平均工賃はB型で月17,031円と上昇傾向を示していますが、最低賃金の適用外である点には注意が必要です。利用料の計算方法は両サービス共通なため、最終的な負担差は実費と出勤時間で決まります。体力・就職意欲・医療ニーズ、そして作業スタイルを踏まえ、計画相談支援専門員と連携しながら最適なルートを設計しましょう。

参考・出典

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